この季節、水を引いた田んぼに緑鮮やかな早苗が揺れる景色の広がる川上校区。その核となる川上小学校は創立126年を迎えました。地域住民の3分の1は何らかの形で農業とかかわりを持っているように、鹿児島市内にありながら、都市型農村を形成しているのどかな校区です。
「昔からの伝統が残る地域だけに、町内会ごとに運動会が開かれるなど、それぞれの町の活動が充実しています」と話すのは校区公民館運営審議会委員長であり、川上町内会長も務める川路正則さん。自分自身が子どものころ、先輩に手を引かれて遊んだ川の水がとっても冷たかったことや、“いけんこ”の湧水端ではお母さんたちが野菜やおしめを洗っていたこと、飴がもらいたくて権現祭りや天道祭りの列について回ったことなど、心に残る鮮明な思い出を持つことから、「今の子どもたちにも、ふるさとはいい所だったと心に残る行事をしてやりたい」との思いで、昔ながらのしめ縄作りや、田んぼにやぐらを組んで行う鬼火焚きなどを行っているそう。
地域の人にも地域財産を伝えるべく、地元に残る田の神さぁや神社、磯の集成館まで水を引いた疎水などを記載したふるさとマップを作成したいと運営審議会で検討中です。「校門で月に2回行われるあいさつ運動など、地域の方、PTA、子どもたちが一体となって活動を行っているのが印象的。横のつながりができていると感じる」と話すのは竹下龍二教頭。活動を通して子どもたちが地域の人と顔見知りになり、安心して会話している様子が見受けられると言います。
行事においても、あいご会のスポーツ大会と大人が参加するグラウンドゴルフ大会を同時に行うほか、青少年育成大会の中で中学生が参加する立志式を行うなど、世代を超えた運営が特徴。伝統文化の棒踊り保存会にも小中学生や高校生の参加があるそう。
小学校の校庭に立つと、子どもたちの飲み水にするために大正時代に湧水を引いて置かれたという水鉢(現在のものは創立百周年記念で復元)が水をたたえ、学校とほぼ同じ樹齢を重ねたせんだんの木が子どもたちを見守るように大きな枝を広げています。年月を経たそれらの情景も、子どもたちの心に温かなものとして刻まれることでしょう。

