鹿児島市の中心部からおよそ9㎞。国道3号からも10分足らずという位置ながら、「市街化調整区域」に指定されていることで、山や田畑が残り、のどかな風景が広がる犬迫地区。その真ん中に創立115周年を迎えた犬迫小学校があります。
今でこそ、児童数70人(9月現在)の小規模校ですが、昭和20~30年代には約700人という時代もあったそう。「市街地への移住も要因のひとつですが、世帯数はさほど変わりませんから、昔は子だくさんだったことも影響していると思います」と話すのは、犬迫校区公民館運営審議会委員長で仲組の町内会長でもある迫武博さんです。
「子どもの数は減ってきても校区の集まりごとは盛んなんですよ」。鬼火たきや夏祭り、歩こう会、十五夜といった行事には毎回多くの地域の人が集まり、先日行われた十五夜では、子どもも大人も一緒になって12mの縄をない、学年、町内会、家族といったそれぞれの組み合わせで綱引きを楽しんだそう。「その後は綱を丸い土俵にして、相撲です。遅くまではずみましたよ」と教えてくれました。
同校の自慢は「花と読書と福祉の里」。花が豊富なことは言うにおよばず、読書は週3回の朝に「ふるさと読書」の時間を設け、それぞれが好きな本を読んだり、地域のグループによる読み聞かせで児童全員が読書に親しんでいます。「子どもたちは、1学期中に平均78冊も読んでいるんですよ。これが家庭や地域の大人にも広がって、ゆくゆくは読書の町、犬迫になればと考えています」と言うのは同校教頭の里信仁さんです。
もうひとつ、福祉に関しては、校区内に育成センターコスモス、ひまわり園、つわぶきの里をはじめとする多くの福祉施設があることで、総合的な学習の時間に交流したり、あいご会でも掃除やお世話に訪れているのだそう。「小学校で毎年どこかに訪れているからでしょうね。中学生になっても、積極的に参加しているようです」と里教頭。
豊かな自然環境の中、地域の人々の手を借りながら、子どもたち自らが田植えから脱穀までを行い、米を収穫。また、地域の福祉施設との交流は、どちらも犬迫校区の中にあるものを生かした取り組みです。ここから生まれ、確かに育くまれている健やかな体と優しさや思いやりの心。「つよく、かしこく、やさしく、なかよく」とは同校の校訓。まさしくこれを実践している子どもたちでした。

