校区の歴史を知ることで生まれる地域への愛着
古くは島津貴久、義久、家久三公の城跡、その後は明治の廃仏毀釈で廃寺になるまでの250年間「大龍寺」があった場所に建てられたのが「大龍小学校」。今年で創立124周年になる、古い歴史を持つ学校です。錦江湾を挟んで桜島を目前にする校区内には史跡も数多く残されていて、大龍寺跡、島津忠義墓地、南洲神社、南洲墓地、西郷南洲顕彰館、五代友厚誕生地などが特に有名です。また、今話題の天璋院篤姫の成育の地もあります。
この地域に住む人たちは、歴史ある地域を大切に語り継ごうと、長年あいご会が中心となって毎月第3日曜の早朝、史跡巡りと体力作りを兼ねた「校区歩こう会」を実施しています。「9つある町内会のあいご会が輪番で、それぞれに工夫をこらし、コースを考えて、高学年の児童たちが、参加者に史跡の説明をするんですよ」と教えてくれたのは大龍小学校の上薗隆一教頭です。自分の住む地域を知り、愛着を持つ。そして参加した大人たちとも世代を越えて交流ができる意義ある歩こう会に、これからも多くの人に参加してほしいと語ります。
今年3月、校区内の全家庭に「大龍校区歴史マップ」が配られました。校区在住の歴史家、下忠義一さんを中心に組織された編集委員のみなさんが現地を巡り、54の史跡を撮影。その一つ一つに解説が加えられたオールカラーA3判三つ折りの充実したリーフレットです。
「校区内には、まだまだここに収まりきれないほどの史跡があるんです。編集作業よりも、選ぶのに苦労したくらいです」と下忠さん。自身も校区の成人学級長としても多忙な中での編集作業でしたが、発行後に開催した「歩こう会」の参加者がこの校区歴史マップを手にしているのを見てうれしかったそうです。「この資料をもとに、たくさんの人に現地を訪れてもらい、校区の歴史を再認識してほしいです。大龍校区に住む誰もが、その場所の案内ができる、そんな地域になれたらいいですね」と語ります。
同校区は社会人学級の活動も盛んです。成人学級では、学び合うために、お互いが講師になって知識や技術を教え合っているとか。「みんな何か一つは持っているもの。知恵を出し合い、分かち合うことで、地域にお返しをしましょうよ」という下忠さんの言葉が印象的でした。取材当日、小学校の裏では新たな遺跡の発掘作業が。スローガンの「いにしえの歴史が香る わが大龍」に納得の大龍校区です。
